ユーロ/円相場は、100円水準まで上昇する展開に。引き続き、欧州中央銀行(ECB)が無制限の国債購入を決定したことが好感され、ユーロに対するショートカバーが先行している。米連邦準備制度理事会(FRB)や中国当局が追加の景気刺激策に踏み切るとの観測から、リスクマーケット全体が地合を引き締めていることもポジティブ。
ECBは6日の理事会で、流通市場で残存期間1~3年の国債を無制限に購入するプログラムを発表した。独国債とのスプレッドや、国債利回りの目標設置などは見送られたが、マーケットでは「無制限」という点が素直に好感されている。確実視された政策金利の引き下げが見送られたこともあり、欧州債務危機に対する警戒感後退が、そのままユーロに対するショートカバーを誘っている。このまま欧州債市場が沈静化を続ければ、ユーロの下値不安は限定されよう。
もっとも、12日には独憲法裁判所が欧州安定メカニズム(ESM)の合憲性を判断する他、欧州委員会がユーロ圏の銀行同盟に関する素案を発表する予定になっている。また、14~15日にはギリシャやスペインの歳出削減、救済案について協議が行われる。これらのイベントの過程で、債務問題の対応に多くの時間が必要であり、かつハードルが高いことが確認されれば、ユーロ高の調整が進む可能性が高まる。ECB理事会はマーケットの期待に応えることに成功したが、実際の国債購入は容易ではなく、政策対応期待に伴う、一時的なユーロ安の修正局面との評価で十分だろう。
今後1週間の予想レンジは、99.00~101.50円。